研究分野

研究室の活動の基本的なポリシーは"Pragmatism:実用主義"である。工学部の使命は、実用に供しうるもの・技術・技法の開発であると思っている。基礎研究を経て応用研究そして実用的になってこそ研究の成果があるといっても過言ではあるまい。そんなポリシーのもと現在行っている研究室活動の一端を次に紹介する。

プラントとは施設(Facilities)、工場(Factory)、設備(Facility)と同義語である、製品・サービスを創生するために必要な有形固定資産のことである。エンジニアリングとは工学である、基礎科学を生産の場に応用して生産能力を向上させるための応用的科学技術の総称と定義されている。
従って、プラントエンジニアリングとは「企業体の生産性を高め、収益性を向上させるために企業の方針にのっとり、プラントの計画・設計・設置・活用・維持・保全を行うことにより、その機能を最大限に発揮できるようにする諸活動と要約できよう。

ファシリティレイアウト

工場計画においてレイアウト設計は生産効率に大きく影響を及ぼす重要な段階であり、限られた空間の中に所与の目的を効率的に実現しうるように全ての配置対象の位置関係を決定することを目的としている。
そのレイアウト設計は、いわゆる施設計画(Facilities Planning)の一分野としてとらえられている(下図参照)。施設計画は、アクティビティの目的を達成するために、個々のアクティビティの有している有形の固定資産をいかにサポートするかを決定することである。製造をつかさどる企業における施設計画とは、製造のために如何に製造施設をサポートさせるかである。空港のケースを取り上げるならば、施設計画は旅行者と航空機とのインターフェースを如何にサポートするかの決定を含んでいる。同様に病院における施設計画は、患者に対するメディカルケアの供給を如何にサポートするかの決定である。
施設設計の構成要素は施設を構成するシステムとレイアウト、そして運搬システムからなっている。施設システムは、構造物システム、環境システム、構内システム、電灯・電気・情報システム、生命安全システム、衛生システム等が関係しており、またレイアウトは全ての設備、機械、建物の中に什器と関係しており、運搬システムは要求された施設の相互関係を満足するために必要なメカニズムと関係している。製造施設のための施設システムは、建物(構造物と構内の要素)、動力、光、ガス、熱、排気、エアコンディション、上水、下水の必要性が含まれるであろう。レイアウトは、生産エリア、生産に関わるかサポートするエリア、そして建物の中に関わるエリアと関係している。運搬システムは、材料、人、情報と関係しており、設備の運搬システムは生産をサポートすることを要求する。
一つの施設の立地を如何にサポートし、その施設の目的と合致させるかの決定は全体の施設の立地と関係している。施設の構成要素を如何にサポートし、施設の目的を決定するかは施設設計と関係している。それゆえ、施設計画は施設の立地と施設の設計に細分されよう。施設の立地はマクロに位置付けられ、施設設計はミクロ要素とみなされる。

ファシリティレイアウト問題のアウトプット

ロジスティクス

サプライチェーンマネジメントにおいて、輸配送は大きな役割を担っている。特にVehicle Routing Problem(VRP)は、サプライヤから顧客へ製品を効率的に配送するための問題である。現実的な制約であるタイムウィンドウ(配送時間制約)などを考慮したVRPを解くためのアルゴリズムの構築及び改良を行っている。

ヴィークルルーティング問題

意思決定支援ツール

数多くの選択肢の中から多目的な関数を満たす最適解を探す問題を扱っており、経営における多くの意思決定をサポートするアルゴリズム・ツールの開発および改良を行っている。近年では工場や施設の立地場所の選定や適切なメンテナンス戦略の決定などの問題を扱っている。

サービスサイエンス

サービス産業がGDPに占める割合は先進諸国では60%を超え、世界全体でも増加基調を示している。また、サービス業の一人当たり付加価値額は先進国を中心に上昇しており、各国にとってサービス生産性の向上は、経済全体の生産性を左右する大きな課題となっている。
本研究室では、モノの生産現場における改善活動のノウハウを、サービスの生産現場へ適用することを試みている。サービス固有の特徴として「無形性」「同時性」「異質性」「消滅性」が挙げられるが、これらサービスならではの曖昧さが、従来のモノの生産現場における改善活動のノウハウの適用を困難にしている。
近年ではアパレルショップや居酒屋における業務改善活動、及び業務プロセスに着目した顧客満足度の測定技法の開発を行っている。